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サゲは情ない露雫

出どころは確か米朝全集のライナーノーツでした。

米朝演じる『持参金』のサゲは、20円の借金の始末をうまくまとめ
   「あはは!ぐるっとひと回りしまんにゃわな!昔の人はやっぱりえぇこと言ぅてまんな」
   「ほんに金は天下の回りもんや」
このサゲは米朝さんがこしらえた、と書いてあったように覚えています。

なんでも元噺にはまだ続きがあり、ブサイクな傷モノのおなべさん、その日のうちに死んでしまうだか虐げられるだか、くすぐりも少ないうえ、気ぃ悪い流れがあったとか。
米朝さんは商品としてあまり良ろしうないとお考えになり、借金の始末がストンと落ち着いたところで噺をぶった切り、「天下の回りもん」と付け足したらしい。
キレイで明快なサゲになり、良いご判断だと思います。

時折、半可通なワタクシなどでは「なんや、ようわからんサゲ」な噺があります。博識な落語通なら、その面白味をも堪能されるのかもしれません。
たとえば『高尾』。三代目春團治が有名な、本サイトではすっかりお馴染の、あれです。
(この動画では「屁をこいて 可笑しくもなし ひとりもの」の三代目定番マクラがなく、ちょっと寂しい。)

   「表の戸をドンドン叩くは そちゃ女房 おちょねじゃないか?」
   「アホらしぃ。隣りのお梅。かんこ臭いの、お宅かえ?」

このサゲがわからない。
文意はわかるんです。紙子臭い、つまりこげ臭いのアンタんトコやろ、小火でも出してんのちゃう?の意です。同趣の江戸落語『反魂香』でも同じサゲです。だがこのサゲの面白味がわかりません。

かんこ臭いは焦げ臭い、転じてキナ臭い話・尾籠な話、らの含みが、かつてはあったようです。また『高尾(反魂香)』元ネタ芝居の幾つかには艶噺も混じっています。そのあたりの含みがあるのかもしれない...などと邪推もしてみたり。
でもやはり何をほのめかし面白いのか、まで辿り着くことができませんでした。
あるいは「はんごんこう」と「かんこくさい」のかなり苦しい地口?にしても、江戸落語でサゲの意味が通じない。

結局今の処「隣のかあちゃんが“アンタのところ、小火出してないかい?”と入ってくることで、それまでおちょね妄想モード全開だったわれらが下駄屋の喜六氏、にわかに日常へひき戻されましたとさ」あたりのサゲだと、一応暫定的にニュアンスを理解しておくことにしています。
しかしそれでも面白く判りやすいサゲとは、決して言い難い。
米朝改作『持参金』のような改善サゲを、次世代噺家のみなさまにおかれましては、ぜひ挑戦いただきく思います。

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たとえば『算段の平兵衛』。
今でこそ演るかたもぽつりぽつりと出てまいりましたが、この噺もまた永く演者が絶えていました。わたしどもが今耳にできる『算段の平兵衛』は、米朝が取材し掘り起こし、こしらえ直したリメイク・バージョン。その翻案家・編集者たる米朝さんご自身いわく
    この噺、誰も演らんようになったのは
    演らんようになっただけの理由が、やっぱりありますわ。
    まず第一に。
    あんまりおもんない。
...あ、いや、その、それ言うたら、身もフタもおまへんがな師匠。一応直後に「まあ、ところどころ、おもろい処もあるんです」とフォローを入れておられます。

    「あの徳さんちゅうやつ、相当ええ金づるを…。
     なんや平兵衛の痛いとこ、握ってるに違いない。
     何握ってるか知らんけども、相手は算段の平兵衛や、こんなことしてたら
     しまいには、どえらい目、遭いよるで。」
    「さぁそこが、めくら平兵衛に怖じず、やがな。」

このサゲがとても不満です。
めくら蛇に怖じず、の語呂合わせなのはわかります。だが「...なんやねん、その噺。」な片付けかたが、どうも腑に落ちません。
米朝さんもそう感じる節がおありだったようで「取って付けたよな頼んないサゲ」と、どこかで評されていらっしゃるとか。

いっそお庄屋さんの遺骸がぼろけちょんになり平兵衛が50両をせしめたあたりで、新しいサゲを加えてはいかがでしょう。
米朝改作『持参金』のような改善サゲを、次世代噺家のみなさまにおかれましては、ぜひ挑戦いただきたいと思っています。
  
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このサイトは、かつて「Lankin' A Go! Go!」というサイト名で別URLにて公開していたネタや記事を多く改稿・転載しています。


記事末に初出年月日を記載しています。初出の場合には無記載です。
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