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すべてのお笑い文はバックウォルドとネタかぶり(2)

(前話はこちら
新聞報道によれば、サブリミナル・メッセージは今や小売店で流される音楽にまで及び、購買促進に一役買っているという。得意先の依頼で数社が制作する音楽には、客の脳に働きかけ大して買う気もない品物まで知らず知らずのうちに買うよう仕向けるメッセージが隠されている。
わたしは地元のあるショッピング・センターへ行くまで、この情報に関し懐疑的だった。売場に流れる音楽は、客の休日気分を煽るクリスマス・キャロルだった。チョコレート・チップ・クッキーを買おうと立ち止まると、突如としてなにかがわたしにとりついた。スピーカーから「We Wish You Are Christmas」のメロディがにぎやかに流れる中、わたしはだしぬけに

「下着」

という言葉を口に出していた。列を作っていた人々が一人残らずわたしを見た。わたしは後ろに並んでいる男の襟をつかんでいった。「下着を買わなくては!そう!下着だぁ!」
男はわたしの手を払いのけた。「じゃなんでチョコレート・チップ・クッキーの列に並んでるんです?紳士用品店へ行きなさいよ」


わたしは通路を猛スピードで走り抜け、制服のガードマンを呼びとめた。「下着だ!」と、彼に向かって叫んだ。「下着をくれ!」
ガードマンはわたしを逮捕すべきか、それとも案内すべきかと迷っていた。やがてセンターのいちばん端にある大きなメンズ・ウェアの店を教えてくれた。
入口に立っている2人の店員がにやにや笑っていた。1人がもう1人にいった。「またおいでなすったぞ」そして、わたしが話しかけるよりも早くこういった。「左手の3つ目のカウンターです、ただし番号札をもらって順番を待ってください」


下着売場はわめき叫ぶ客でごったがえしていた。
わたしは隣の男に話しかけた。「この分じゃ順番前に売りきれてしまうかも‥‥下着が買えなかったらどうしよう‥‥」
「どうしても必要なのかね?」と、男がきいた。
「そうは思えないんだが、チョコレート・チップ・クッキーを買うために列に並んでいたら、だしぬけにどうしても下着が欲しくなったんですよ」
「いや実はわたしもピザを買いにきたんだが、やはり同じ衝動にとりつかれましてね」
わたしの番号が呼ばれ、ジョッキー・ショーツとアンダーシャツを50着ずつ買いこんだ。それ以上は売ってくれなかったのだ。


店から出たところで、木炭で子供たちをスケッチしている絵描きに目をとめ立ち止まった。絵を見ている間、だれかが歌う「ジングル・ベル」がスピーカーから流れていた。
頭のなかに“中華鍋”という言葉がぱっと浮かんだ。わたしは憑かれたような眼つきで中華鍋を売っている店を捜しはじめた。案内所へ駆けてゆくと、こっちが用件を切りだす前に案内係の女性はこう言ったのだ。「中華鍋はこの建物の反対側のデバートの地下にございます」
「‥‥どうして中華鍋が欲しいとわかったのかね?」
「『ジングル・ベル』が鳴りだすとみなさん中華鍋をお求めになります」
「つまり『ジングル・ベル』にはメッセージが隠されているってことかね?」
「もちろんです。今日は中華鍋ですけど、昨日は床ワックスでした」
「中華鍋は必要ないんだよ」
「でしたら手で耳をおふさぎください、そうすればメッセージが届きませんから」
「‥‥『ジングル・ベル』のつぎは、なに?」
彼女は予定表を見た。「『ホワイト・クリスマス』とホーム・コンピュータですね」
「ホーム・コンピュータも必要ないんだけどね」
「ビング・クロスビーが『ホワイト・クリスマス』を歌いだすまでは、みなさんそう思っていらっしゃいますよ」
「チョコレート・チップ・クッキーを買う暇はあるだろうかね?」
「なんともいいかねます。『ホワイト・クリスマス』のつぎは『聖しこの夜』で、センターのはずれで売っている中国製の手織り絨緞に殺到する予定だ、とだけしか申し上げられません」
[つづく]
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