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さながら小さなお笑い博覧会(1)

調べてみると、2003年の国内ベストセラーは『バカの壁』『世界の中心で愛を叫ぶ』『トリビアの泉』なんだそうです。これら3作が愚作なんぞと決して申しませんが、2003年はもっと面白い本が発刊されたではないか!なぜ売れぬ!と、ワタクシは声を大にし申し上げたい。その書名は『対談 笑いの世界』。朝日新聞社刊。著者は、というと

 桂米朝・筒井康隆

もう、これは「どうだ!このラインナップ揃えてやったぞ!」といわんばかりでしかも出版動機が「寿勲記念」でつまりはたいへん朝日新聞的出版物ですが、それでも

 桂米朝・筒井康隆

のダブルネームに反応しちまうのは悔しいかな笑いネタ好きの業でございまして、とにもかくにもこのサイトをご覧いただき「面白いな」と感じていただいている諸兄は、とりあえずこの本を読みなさい。なぜ命令形。
どうせすぐこのテの本は絶版になるから、読めるうちに読んでおくことをおすすめします。

内容は、というと、対談記録なので、ひとつひとつのコンテンツについてさほど詳しく熱く語っているワケではありません。
が、ご承知のとおり、博覧強記のうえ勉強熱心で知られるおふたりのこと、およそ70年代までに国内にはいってきたネタについては、ひととおり語っておられます。

おふたりの持ち芸である落語とSF話はもちろん、漫才、講談、浄瑠璃、座敷芸、国内で見ることのできたスラプスティック映画、さらには平静より“芝居っ気”について口にすることの多いおふたりの芝居話のあたりの面白さはひときわ。無断転載ですが、少しご紹介いたします。
 ※関係者のかたからご指摘があった場合には撤去いたします。予めご了承ください。




米朝:SF的な「天竺徳兵衛」という芝居がありますわな。徳兵衛が誰かを仲間に引きずり込もうというので、道頓堀の料亭へ連れ込んで、そこで飲んだりいろいろやっているうちに、「結局それは海賊やないか」「今、鎖国をしてしもうたから、鎖国さえせなんだら立派な商人で、海賊ではない」「やっぱりやめる。わしは帰る」「帰れるもんなら帰ってみなさい」と言うて、障子をパッと開ける。波音という太鼓がドドンドーンと。大海の真ん中なんや。道頓堀の料亭やと思うてたんが実は船なんや(笑)。
筒井:凄いなあ。
米朝:大海へ出てしもうて、もう帰られへん(笑)。それでカンボジアかどっかへ連れて行かれる(笑)。あの発想は驚いたな。
筒井:猿之助さんの「天竺徳兵衛」には、その場面あったかなあ。実はさっきの「破天荒鳴門渦潮」を昔羽屋さんでという話もあったんですが、ぼくは澤潟屋さんに宙乗りをやってほしかったんで、宙乗りの場面を書いたんですよ。雷獣を捕まえるんです。雷獣というのは雷とまた違って、雷獣というのがいる。
米朝:江戸時代に描かれたものに雷獣の絵というのが残ってる。
筒井:それはどんなのですか。
米朝:江戸時代の随筆本を集めた、「日本随筆大成」というようなものが昭和の初期に全集として出ていて。
筒井:それは絵ではなくて。
米朝:絵も入っている。
筒井:狛大さんとか獅子とかみたいなやつ。
米朝:そうそう。そんな感じです。ちゃんと、それを観察して写生したと書いてあるんです(笑)。
筒井:写生ですか(笑)。
米朝:雷獣を捕まえた。それでこんなもん滅多に、というんで取り押さえているうちに死んでしもうた。
   (インタビューイ)――本気でそう思っていたんですか、その人は。
米朝:まじめに書いてある(笑)。年月日も、どこそこに大落雷があったと。それで、それを写生したと。その筆者の名前が書いてあって、そのまんますぐ死んでしもうたと。そこまで書いてある。
筒井:あのころの人は、嘘を書くときでも、わざと真面目に書く人が多かった(笑)。
米朝:ほんとに雷獣やと信じてたかもわからん(笑)。
筒井:かもわからん。で、その雷獣を捕まえて、天の神さんに雨降らすよう説得しに行くから連れて行けというので、そこから宙乗りをやる。天へ行ったら雨の神と風の神がいる。「風の神さん、なんや具合悪そうやな」「風邪ひいてまんねんわ」(笑)。そんなギャグいっぱい入れたんやけど、あきませんなあ。装置も衣装も人件費も、高うつきすぎる。
米朝:どこの劇場でやるかやなあ。役者が揃いまへんなあ。歌舞伎はそれが大変なんですよ。松竹座さんも満員になってくれなんだらあかん。東京から皆呼ぶ。皆ホテルヘ泊めて、うんと高うつくんですな。新喜劇がよかったのは全部関西の役者で、宿泊費なんかいらんからね。客さえ来てくれたら儲かった。今はもう、こっちの役者なんかおらんからなあ。ちっちゃい劇団は今仰山できてるんやけどなあ。あの中から1人スターが出えへんかいなあ。スターができると東京へ連れて行かれてしまう。
筒井:そうですね。漫才、落語界もそうですよね。
米朝:吉本(興業)も東京に色気を見せて、テレビとか、マスコミ関係はある程度押さえたんやけども、やはり育たんのやな。お客が違うしね。
[つづく]
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