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文芸評論パスティーシュの見本帳(4)

(前話はこちら)さんざクサしましたが、パロディやパスティーシュを作ったことのあるかたならば、ネタ本の1冊としてあなたの薬籠へこの本を入れておき、損はありません。「~風評論文」のツボは、およそ網羅しています。「こういう評論家の名前を使い」「だいたいこのあたりを突ついて語れば」それらしく「~風」になる、と、具体的文例をともない把握できます。つまりわずか800円弱のこれ1冊あれば「所ジョージの世田谷ベース ...

文芸評論パスティーシュの見本帳(3)

(前話はこちら)さて、もうひと世代前のみなさまが喜びそうなものといえば、「ポストモダン」。筆者・廣野由美子さんもどうもこの時期に青春の思想を謳歌されたのかたのようで、デコンストラクション周辺の翻訳には、いやに力がはいります。決定不能がどうだの二元論がこうだのと、御託がとても長い。そういうメインディッシュ部分は本編で味わっていただくとして、ここではさらっとラカニアン「風」精神分析解釈だけを、あっさり...

文芸評論パスティーシュの見本帳(2)

(前話はこちら)クイアはこんな感じです。我田引水なあの感じをよくつかまえていると思います。レズビアンを語りたいがために、作者のおかあちゃんまでレズ呼ばわりかよ。クイアのみならず、「カル・スタ」「ポス・コロ」「フェミ」「新歴史」など、90年~00年代頃、精一杯文学的に背伸びしたみなさまが喜びそうなお品書きは、ひとしきり揃えてあります。この文芸イケアな品揃えぶり!パクリ元である原書『Frankenstein--Case Stu...

文芸評論パスティーシュの見本帳(1)

Case Studies in Contemporary CriticismというシリーズがBedford/St. Martin's社より長く刊行されていたことがあります。古典名作へ「この立場の批評家なら、こんな風に評するだろう」と延々羅列するシリーズです。対象古典をちょっとかいつまむと、ジョイス『ザ・デッド』、ブロンテ『ジェーン・エア』、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』、ホーソン『緋文字』、メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』、ブラム・ストーカー...

マニュアル形式はお笑い本のセールス救世主かも?(4)

(前話はこちら)既存の宗教を焼き直そう 前項ではいちからオリジナルの神を作る方法を説明しました。しかし、「機能的な神を作るって、なんだか難しそうだなあ」と感じた人も多いと思います。ですが、まだ諦めないで下さい。実はもっと簡単なやり方もあるのです。それが既存の宗教を焼き直して利用する方法です。 というのも、実際のところ、新興宗教にしろ伝統宗教にしろ、いちから神も教えも作ってやっているところはあまり多...

マニュアル形式はお笑い本のセールス救世主かも?(3)

(前話はこちら)教義を作ろう 教祖を目指すあなたが最初になすぺきこと。それは教義の作成です。 と言うと、あなたはすぐに、「オレ、文章へタクソだけど教義なんて作れんのかなあ。やっぱり教祖って難しいや」と思うかもしれませんが、心配はいりません。文章に自信がなければ、最初は頭の中で作っておいて、その都度、口頭で弟子に指示するだけでも全然構わないのです。放っといても後で弟子たちが巧いこと成文化してくれます...

マニュアル形式はお笑い本のセールス救世主かも?(2)

(前話はこちら) みなさんは、人に尊敬されたい、人の上に立ちたい、人を率いたい、人を操りたい、そんなことを思ったことがありませんか? でも、自分には才能がない、学がない、資産がない、そんなのは一部のエリートだけの特権だ、等と理由を付けて夢を諦めていませんか? 確かに、これらの夢を叶えることは非常に難しいことです。ですが、悲観することはありません。何も持たざるあなたにも、たった一つだけ夢を叶える方法...

マニュアル形式はお笑い本のセールス救世主かも?(1)

ここ数年の宗教ネタ読み物においては、ボビー・ヘンダーソン『The Gospel of the Flying Spaghetti Monster』が出色の出来であることに、異論は少ないでしょう。当時、流行に乗り邦訳も出たらしいです。しかしインテリジェント・デザインの思いつき臭ぷんぷん漂う理屈が、そもそもの騒ぎになっていない日本。スパゲティ・モンスター教のロジックのばかばかしさが、面白がられるはずもありません。案の定、居酒屋コンパノリの馬鹿騒...

サゲは情ない露雫

出どころは確か米朝全集のライナーノーツでした。米朝演じる『持参金』のサゲは、20円の借金の始末をうまくまとめ   「あはは!ぐるっとひと回りしまんにゃわな!昔の人はやっぱりえぇこと言ぅてまんな」   「ほんに金は天下の回りもんや」このサゲは米朝さんがこしらえた、と書いてあったように覚えています。なんでも元噺にはまだ続きがあり、ブサイクな傷モノのおなべさん、その日のうちに死んでしまうだか虐げられるだか...

スティーブ・マーティンふたたび

以前書いたスティーブ・マーティンの記事へ、追記。YouTubeのおかげで、だいぶ映像を紹介できるようになったのは、ありがたいです。スティーブ・マーティンのスタンダップ・コメディこの白づくめの衣装は、70年代のスティーブの定番衣装でしたね。SNLの定番ゲストだったのも、この頃だったと思います。マジック・ショーのスティーブ・マーティンマジックものはかなり得意ネタで、ずいぶん初期の頃からやっていたように覚えています...

突然半身が女に!――下と右の区別もつかんのか?この翻訳家は‥‥は!「下」なんて文字どこにもないじゃん!

スティーブ・マーティン(Steve Martin)といえば『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の歯医者、とたいてい誉め相場は決まっていて、ピーター・セラーズの『博士の異常な愛情』、渥美清といえば「寅さん」、森繁なら「長寿」というぐらい名怪演がピシャリとハマったものという評が通例。そして、それは正しい――森繁さんがアダムとイヴを作ったらしいですよ。ええ。奥さん。だが。敢えて私は『all of me』のスティーブ・マーティン...

500文字一本勝負!

「最近はどうなんですか?」と昔ながらの読者よりお尋ねいただきましたので、読書録のオンラインサービス読書メーター内最近の履歴から、お笑い関連ぽいものだけを、取り出してみました。 面白かったものも、あまり肥やしにならなかったものも、取り出しました。 このページをもち、「最近はどうなんですか?」ご回答の一助になるとよいのですが。 別役実のコント検定!―不条理な笑いのライセンスをあな『コント教室―不条理...

最も粋(すい)な四天王(2)

(前話はこちら)もう少し話芸に則り、その魅力をご紹介しましょう。幸い上方落語には、1960年以降の立役者・桂米朝師匠がおられます。米朝師匠の『高尾』と比べ、いかに春團治がガサツな言葉づかいと上品な言葉づかいを丁寧に使い分けているか、いくつか並べてみましょう。[喜六が寝起きにボヤくくだり]●(春團治の演りかた)夜中にフッと目ぇ覚ましよりまして喜六「フアーッ‥‥   あ-あ。   かなぁんな。もう‥‥。   ...

最も粋(すい)な四天王(1)

「どなさん、噺家は誰が贔屓なの?」日常下このような質問を受けることはあまりない‥‥はずですが、類は友をよぶか目クソ鼻クソか、年に2、3度ほど尋ねられます。ここ10年ぐらいは、たんびに「春團治」と即答。たいてい怪訝な顔をされます。予想していた答えと違っておられたのでしょう(たいていは米朝か枝雀と答えねばならぬお約束らしい)。あるいは「ふーん」と相槌が返る。たぶん春團治という噺家をご存知ないのでしょう。トー...

おすすめ・らもスターターキット~その後

(前話はこちら)技術の進歩というのはありがたいもので、4年前に「おすすめらもスターターキット」を書いたときには紹介できなかった音声や動画も、手軽に公開できるようになりました。その後、いろいろと中島らもについての余芸情報も、あちこちで追加公開されはじめています。いくつか本文主旨に添うデータを、ここに追加加筆しておきます。中島らもの余芸落語(音声のみ)NHK大阪『らも・チチ 関西文化夜話』出演時の中島らも(...

おすすめ・らもスターターキット

バカバカしいことを考え続ける、というのも、これはこれでなかなかの苦行ではないかと思います。少なくともバカでは持続できない。それなりに精進なり切磋琢磨なりセンスなりが要る。先般階段から転げ落ちおっ死ぬ、という誠に“その方らしい”死にかたをなされた中島らもさんは、バカバカしいことをずっと吐き出し続けてこられたかたのおひとりでしょう。中島らも。元々その名を馳せたのは広告業者として。それもサントリーとか資生...

ドナルド・マックの デイヴ・バリーを笑う

デイヴ・バリーを「おバカコラム」呼ばわりする向きがあるようです。デイヴとて、浅薄な毎日をのんべんだらりとやり過ごすお前らクズどもに、バカ呼ばわりされたかぁないだろう、と思うんでございますが。わが国でデイヴ・バリーといえば『デイヴ・バリー 日本を笑う(Dave Barry Does Japan)』なんでありまして、007といえば『二度死ぬ』、SFといえば『チバシティ』…ま、そういう島なんありますよ、オラが国は。イナカモノ・コ...

大きな箱で演りたがらない理由(4)

(前話はこちら)さて。2つの楽しい追悼会――楽しい追悼、というのもけったいな言い方ではあります――を比べると、私は「文枝追悼会」へ軍配をあげたい。米朝師匠は、平静よりホールのような大きな場所での落語を、あまり好まないかただそうです。ホールで演る時もできる限りマイクでの音量を下げるよう音響係のかたへご注文されるとか。マクラを振るひとこと目の音量が大きいと、わざと少し間をおきボソボソとした口調で「マイクの...

大きな箱で演りたがらない理由(3)

(前話はこちら)かたや「高津宮くろもん寄席 桂文枝 追悼特集」は5月29日に寄せさせていただきました。こちらは文枝一門恒例の演場所・高津神社での「定例くろもん寄席」に“桂文枝追悼”の冠を載せたかたちでの開催です。客側も定席「くろもん寄席」というのが、そもそも大規模な興業ではなくこじんまりした地域寄席であることははわかっています。大半の客は「くろもん寄席」に数度は顔を出したことのある地域周辺の人々で、枝雀...

大きな箱で演りたがらない理由(2)

(前話はこちら)桂枝雀追善会のほうで私が寄せていただいたのは「2005年4月17日 サンケイホール 追加公演」ぶん。その名でお察しいただけるように、一度、大阪で追善公演をしたところ完売満員御礼・再演希望につき、というもの。公演パンフに拠れば東京は歌舞伎座、名古屋では中日劇場、京都南座でも「桂枝雀 七回忌追善」を銘打ちいずれも軒並み完売だそうで、生前からの桂枝雀の人気ぶりも判ろうというもの。1500人ものホール...

大きな箱で演りたがらない理由(1)

ここ四半ヶ月ほどの間に二席の「追善落語会」に寄せさせていただきました。ひとつは「桂枝雀 七回忌 追善落語会」、もうひとつは「高津宮くろもん寄席 桂文枝 追悼特集」です。あなたがひょっとするとあまり関西の落語事情に詳しくないかたかもしれませんから、追悼される噺家の概略を補記します。ご存知の向きはお読み飛ばしください。桂枝雀は、桂米朝一門下では最も人気があり、持ちネタも師匠・米朝に次ぎ多かった実力派噺...

都会モンぶりたい田舎モン市場での成功者 ラッセルじいさん

すっかり訓示垂れジジイと化したラッセル・ベイカー(Russell Baker)ですが、NY Timesに書いていたころのものは楽しい文章が多かったように記憶しています。今も不定期で署名記事が掲載されているそうですが、目にとまることが少なくなりました――あ!そっか、私がそういうカタい記事ページを読まないからじゃん!面白い文章ではあるけれど、地口や揶揄、風刺ネタが多いし、きっと翻訳モノは出ていないだろうなあ、と思ったら、あ...

わても勤めの身 熊野のカラスを3000殺し ゆっくり朝寝がしてみたい

今年も高津(こうづ)神社ではにぎやかに夏祭り。この神社、毎月「なんやら祭」をやっており賑やかといえば賑やか、騒々しいといえば相当騒々しい。周辺近隣界隈に親しまれる古くからある神社です。拙宅のごくごく近所の神社なんでございます。今日び大きな祭りはたいてい観光資源化してしまっていることが多いのですが、文枝師匠いわく(今の祭りは)自分とは関係のないよその土地の祭りを泊りがけで見物に行ってるわけですな。 ...

子供がトリにはばたく日――ある日の米朝一門会

「もう15回も演りましたか…。」2005年1月の新春恒例・サンケイホール『米朝一門会』が終演。改築工事のため来年は開かれないサンケイホールの『米朝一門会』。初笑い演芸会に、なにやら少し寂しい気持ちを少しひきずり、あとにいたしました。『『米朝一門会』はほうぼうで息長く根気よく演り続けられ、回を重ねるごとに盛況になりました。ここ10年ほどは1500人ほどの会場にも入りきれず、簡易イスや立ち見が出るほど盛会な催事です...

すばらしき(バカテキスト)世界旅行には 兼高かおるも久米明も いざなってくれなんだ

なにが口惜しいって、その国の言葉がわからないことです。「あのあたり突つけば、ぜ~ったい、笑えるネタ芸が見つかるだろうな」という臭いは感じるのに、悲しいかな言葉の壁ゆえさわれないフィールドが、世にはあまた存在します。たとえば香港あたりはしょーもないくっだらない腹抱えて笑える京劇ベース話芸がありそうだよなあ、とか、「ユダヤ・ジョーク」の名前で邦訳されている一問一答コントなんざパーティ・ジョークレベルな...

さながら小さなお笑い博覧会(3)

(前話はこちら)  (インタビューイ)――笑いとは何かという定義は?米朝:そら定義できまへんで(笑)。あるいは、20も30も答えがあるっていうか。筒井:生理的には自我の崩壊だけど。簡単に二元論にして、「楽器か武器か」という議論もできる。笑いによって人を楽しませるのか、社会風刺や文明批評や世相への警鐘なのか。SFもそう言われていた時期がありました。いろんな分類のしかたがある。ベルグソンの分類は変だけどね(笑...

さながら小さなお笑い博覧会(2)

(前話はこちら)筒井:あと、SF的な歌舞伎というと。米朝:「白浪五人男」でも、突如としていちばんラストに青砥藤網というのが出てくる。あのゼニを拾うているところが出てくるんです。あんなもん、馬鹿馬鹿しさの極みたいなもんで(笑)。筒井:あと、科学的なトリックはというと、「毛抜」というのがあって、(笑)、エレキでもって髪の毛を(笑)。科学的なものというとその程度で、ユーモアの面で言えばぼくのSFに近いものが...

さながら小さなお笑い博覧会(1)

調べてみると、2003年の国内ベストセラーは『バカの壁』『世界の中心で愛を叫ぶ』『トリビアの泉』なんだそうです。これら3作が愚作なんぞと決して申しませんが、2003年はもっと面白い本が発刊されたではないか!なぜ売れぬ!と、ワタクシは声を大にし申し上げたい。その書名は『対談 笑いの世界』。朝日新聞社刊。著者は、というと 桂米朝・筒井康隆もう、これは「どうだ!このラインナップ揃えてやったぞ!」といわんばかりで...

ナンセンスは高級な笑い…なのか?本当に?(2)

(前話はこちら)別役実は『別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン 』のなかで、「ナンセンスとはシットコム並に高級な笑いであり、またシットコムとは別のカテゴリだ」とレクチャーしたあと、自作の「づくし」シリーズを引き合いに語りはじめます。文脈から解釈するに“別役実の作ったナンセンス・ジョークの好例”として、次の「したすさび」を挙げていることに間違いはなさそうです。「すさぶ」というのは「なぐさめる」と...

ナンセンスは高級な笑い…なのか?本当に?(1)

(前話はこちら)ところ変わって現代日本。現役ナンセンス作家のメジャー処として別役実の名をあげるのに、異論は少ないかと思います。この第一線のナンセンス劇作家が、笑える寸劇の作り方を惜しみなく披露した本があります。『別役実のコント教室―不条理な笑いへのレッスン 』がそれ。お笑いテキストをかじり、これから少しスキルアップを目指したいかたには、たいへん示唆に富む好著です。ご関心の向きとお急ぎでない向きはぜひ...

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このサイトは、かつて「Lankin' A Go! Go!」というサイト名で別URLにて公開していたネタや記事を多く改稿・転載しています。


記事末に初出年月日を記載しています。初出の場合には無記載です。
Directed by Donald Mac
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